池袋暴走交通事故

先日の池袋での87歳男性が起こした暴走交通事故。幼児と母親のお二人が亡くなられ、多数のけが人が出た悲惨な事故でした。亡くなられた方には心からお悔やみ申し上げます。

被害にあわれた方々は本当にお気の毒。まさか青信号の横断歩道を渡っている最中に、高速走行している暴走車が突進してくるとは思えないので、周囲に注意を払うことをせずに安心して横断しているときに、突如暴走車に襲われたので、全く無防備だったわけです。

このような悲惨な事故を今後防ぐにはどうしたらいいか、色々な意見が交わされているようです。事故原因が何かを特定することがまずは先決ですが、現在のニュースなどから分かっている状況では以下の可能性があります。
(1)運転者がアクセルペダルをブレーキペダルと思って踏み間違えた
(2)なんらかの原因でアクセルペダルがもどらなくなった
(3)アクセルペダルは戻ってもエンジンのスロットル開度が開きっぱなしになっていた

現在は(1)がもっとも可能性が高そうに感じます。
これを防ぐには以下が考えられます。
①暴走事故を起こしそうなドライバーを特定する手段を確立して、運転免許をはく奪する。
 例えば、ある年齢になった高齢者へ、ドライビングシミュレータなどで、暴走事故を起こしそうかどうか評価する試験を行うなど。しかし、このような踏み間違え事故はかなり稀な事象で起こるので、その可能性について通常の運転動作から予測することは相当難しいと思います。

②自動車に先進技術を搭載して暴走が起きないようにする。
 現在、以下の先進運転支援技術がすでに実用化されています。
「衝突被害軽減ブレーキ」= レーダーで障害物検知を行い、衝突の可能性がある場合はブレーキをかけて減速する。
 スバルが「ぶつからないクルマ」というキャッチコピーで販促しましたが、日本の自動車メーカーはどこでもすでに実用化しています。しかし、このような先進運転支援システムは搭載するのに高いコストがかかるので、年金生活のお年寄りにとっては買いにくい状況となります。ですので、このような安全性が向上するシステムには、保険代が安くなるなどのインセンティブの設定がないと、お年寄りに普及することが難しい状況です。

③自動車のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いが起こらないような設計配慮をする
 これは実用的なアイディアに思えるかも知れませんが、実はすでに自動車メーカーは踏み間違えが起こりにくいような設計配慮はしています。しかし、エンジンルームと車室内のレイアウトの制約から、現在のペダル配置にせざるを得ないというような背景があります。特に右ハンドルのクルマは、右側のタイヤのホイルハウスの出っ張りを避けないといけないので、アクセルペダルを外側(右側)に持ってくるのは制限があります。
 踏み間違えをなくすように、新しい操作装置の提案は自動車技術会の学術講演会などでもたまに提案されています。しかし、これだというアイディアはまだ見たことがありません。
 アクセルペダルとブレーキペダルを一体化させて、踏み込むと加速、戻せばブレーキというものも日産自動車が実用化していますが、これは電動モーターが発せさせる分の減速まで、すなわち通常の停止行動の範囲だけで、緊急停止にはやはりブレーキペダルを踏むようになっています。

④ISA(インテリジェント・スピード・アダプテーション)の実施
 こちらのシステムは、道路インフラとクルマを路車間通信で結び、クルマが設定された速度を超えた場合に、注意喚起を行ったり、自動ブレーキをかけて減速させたりするシステムです。1980年代ころから、国際的に交通安全へ向けた検討がされていますが、なかなか導入に踏み切れない状況です。

⑤高齢者向けの通常に自動車にかわる新たな交通手段サービスを地域が提供する。
 よく知られるものとしてはシニアカーがあります。こちらは最高時速が毎時8キロメータに制限されるために、歩道も走行可能です。都心ではあまりみませんが、田舎でよく高齢者が自宅から農地までの移動手段などに使われています。これをもう少し高知能化して、最高速を毎時20キロメーターくらいまで上げる方法は実用的と考えられます。
 また、最近では自動運転の一つのユースケースとして、ラストマイル自動運転サービスが挙げられます。これは、地方の過疎化への対策の一つで、クルマの運転ができない高齢者の移動手段として、ノロノロ運転の自動運転車を使用するものです。東京都心の繁華街では通常のクルマは進入禁止にして、ラストマイル自動運転サービスを行うというような対策が考えられます。輪島市では商工会議所が中心となって、2010年から、レベル2の運転手つきのラストマイル自動運転サービスを導入して、社会実験を続けています。クルマはヤマハのゴルフカートを改造したもの。運転者はシルバー人材を使っていて、あらたな高齢社会に適合した取り組みと評価されます。

以上挙げた対策の他にも、いろいろと高齢者暴走事故対策は考えられると思われます。今後の産学官が連携した高齢社会の新たな交通施策を計画して、早期に実施することが必要です。

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