古川修の美酒・美食・美奏『創遊ライフ』

アクセスカウンタ

zoom RSS 軽井沢スキーバス事故総括

<<   作成日時 : 2016/01/26 12:33   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

改めて、亡くなられたたくさんの若い方々のご冥福をお祈りいたします。
また、傷害を受けた方々は一刻も早く回復されることを願います。

さて、随分と事故に至るまでの客観的な情報が明確になってきました。
このことから、いろいろな事故に至る原因、今後の安全策を論ずることができます。

1.事故原因の検証
(1)バスの車体の損傷
 ・右前のフレームが後ろに大きく変形し、タイヤを後部ホイルハウスに接触するまで押し込んでいる。
 ・屋根の後ろの方が大きく陥没している。

(2)ガードレール損傷
 ・支柱の根本から一緒になって崖の方に落ち込んでいる。

以上から、ガードレールへの衝突速度は制限速度の50km/hを大幅に上回る速度であることが推定できます。

(3)監視カメラの映像
 ・事故現場から1km手前の坂の頂上でのバスの速度は通常に見える。
 ・250m手前の事故現場直前では猛スピードで走行し、ブレーキランプが点灯しているように見える。

(4)タコグラフのデータ(警察分析)
 ・一時100km/hの速度まで達成しており、事故直前では80km/hであった。

これらの事実はバスの車体変形と矛盾せず、スピードが高すぎたためにガードレールを突き破ったことが確証されます。バスの屋根の変形は事故現場画像からガードレールを突き破ったあとで右回りに横転していって、崖の下の立木に衝突したことが分かります。

そして、最後のガードレールを突き破るようにコースをはみ出したことは、バスのスピードが高すぎて、ドライバのハンドル操作、ブレーキ操作で車体運動をコントロールできる状態ではなかったことが推定されます。

では、何故ドライバはそれほどまでの高速になるまで、バスの速度を抑える操作をしていなかったのか、ということが事故を起因することになった一番の要因として重要になります。

(5)バスのブレーキ装置・ギアなどの検証(警察調査)
 ・ブレーキの故障はなかった
 ・ギアはニュートラルになっていた

(6)下り坂の勾配
 ・事故現場から1km手前からゆるい下り坂となり勾配は5/100程度
 ・事故現場直前では下り坂の購買は1/100程度
 ・1km手前のカメラと250m手前のカメラの標高差は四十数メートル

この(6)の事実からもしドライバがノーブレーキでそのまま進んだときの、事故現場付近の速度をエネルギー保存の法則を用いて推定することができます。もし抵抗が全くないとしたときには、速度は100km/hをかなり超える計算結果になります。これとタコグラフの事実、およびブレーキ系の故障が見当たらないという事実から、ドライバは1km手前の下り坂に入ってからあまりブレーキ操作を行っていない可能性が高いと思われます。

そして、ギアがニュートラルになっていたということは、ドライバがギア操作をしようとして、その操作をミスしたのではないかということが類推できます。

では、何故速度が出過ぎてしまうまでドライバがブレーキ操作を行わなかったのでしょうか?下記の原因が考えられます。
・上り坂から下り坂に入る地点(1km手前)で、ドライバは上り坂が続くと錯覚していた
・ドライバの覚醒度の低下、または体調不良
・大型バスにドライバが慣れておらず、補助ブレーキの使い方が適切でなかった

以上のいずれか、またはその組み合わせということが、スピードを抑えられなかった要因の可能性として高いと思います。

補助ブレーキというのは、大型バス、大型トラックではフットブレーキだけでは減速効果が少ないので、エンジンブレーキをより強く効かせるために排気管をバルブで閉じてしまう排気ブレーキ装置と、リターダ―と言って後輪へ駆動力を伝達するためのプロペラシャフト側に取り付けられた流体または電磁ブレーキ装置の追加が義務付けられているものです。すなわち、中型バスまではフットブレーキだけで減速をする操作に慣れていて、補助ブレーキをかけるためのレバーを入れる操作と、さらに排気ブレーキをより強く効かせるための減速ギアシフトが適切でなかった可能性が高いと推定されます。

例えば、以下のシナリオが考えらえます。
上り坂が終わり下り坂に差し掛かってドライバは最初フットブレーキだけで対応した。しかし、勾配が5/100ときつくて、しかも大型バスということと、スタッドレスタイヤを装着していたため、フットブレーキだけでは減速が十分ではなくバスはどんどん速度を上げてしまった。そこでドライバは補助ブレーキもかけようとしてレバー操作をしつつ、ギアを一段下げるように操作を行ったが、ニュートラル状態からギアが入らなくなった。焦ってフットブレーキは踏み続けたがバスの速度はほとんど下がらなかった。

速度が高いと、ステアリング操作の効果として車体が向きを変える応答に遅れが大きくなります。また、タイヤのコーナリングフォースと呼ばれる車体の左右運動を制御するための力も現象する傾向があります。そこで、ドライバは必至になってつづらおれのカーブの沿わせるようにハンドル操作を行うわけですが、操作しても車体の向きがなかなか変わらずにどんどんとハンドルを切り足すようになり、その後車体が遅れて向きを変えるので、結果としてはハンドルを切りすぎてしまう。それで車体はさらに大きく曲がろうとして、今度は逆方向にカウンター操作でハンドルを切る、また切りすぎてしまう・・・

ということが、続いて最後はコースに沿うことができなくなって、カーブの外側に逸脱した。というようなことで辻褄があいます。これはあくまで推定で、例えば途中で動物が飛び出したなどの、他のシナリオの可能性ももちろんあります。

いずれにしても、ドライバが大型バスのブレーキ操作に不慣れで、スピードを超過させる原因となった可能性がもっとも高いと推定されます。

2.安全対策
前のブログにも書きましたが、まずはシートベルト着用です。
自分の安全は自分で守る姿勢が重要です。
今後、長距離バスを利用される方、タクシーに乗られる方、他の方の運転する自家用車に同乗する方は、必ずシートベルトをしてください。

今回のスキーバスでは、ほとんどの乗客がシートベルトをしていなかったようです。もし全員シートベルトをしていれば多くの人が命を落とすことがなかったと思われます。シートベルトは衝突時に、乗員の対地速度を減少させるようにエネルギー吸収をしてくれます。

シートベルとをしていなかったので、多くの乗客は衝突速度80km/hの速度を減速させることなしに、停止しつつあるバスの車体内部の全席シートや壁・窓・天井・床、あるいは窓から外に投げ出せれて地面や立木などに叩きつけられたことになります。80km/hの速度で停止物と衝突するということは、高さ25mのビルの屋上から落ちたことに等しい衝撃となります。

シートベルトをしていれば、ほぼ一定の圧力で長い時間をかけて、人体の対地速度を減少させてくれて、車体内部との衝突を避けてくれる可能性が高いわけです。屋根が大きくつぶれて生存空間がとても少なくなった場所では、この限りではありませんが、バスの車体変形の状況を見れば、かなりのところでシートベルとの効果があったのではと推定されます。

もちろん、安全なバスの運行管理を行うための対策を検討することも重要ではありますが、まずはシートベルトを乗客全員が着用するように運用、規制、装置、訴求な各面から検討することが急がれます。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
軽井沢スキーバス事故総括 古川修の美酒・美食・美奏『創遊ライフ』/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる